鵜養真彩巳のヒプノ体験記

 

孤独感と怯えが10グラムだけ楽になったお話



はじめまして、真彩巳です。

これは私がはじめてヒプノセラピーと出会ったお話です。

初回は30分程度の体験でした。しかしそれは、私の今までの人生の中で、最も奇妙な出来事になりました。


 セッションを受ける前に、私は自分の疑問を解決するために、いくつかの体験記を読みました。その疑問とは、 

 

 

●「ヒプノセラピー=催眠」ってどんな状態になることなのか?

●本当に「潜在意識」を感じることはできるのか?

●セラピーを受けた後は、何が変わるのか?

 

  しかし、本を読み終わっても、その疑問に対して自分なりの答えを見つけることはできませんでした。やはり実際に体験してみないとわからないようです。

 

 初めてのセッションは、10月のよく晴れた日でした。高橋先生の事務所で、私はYさんと一緒に大きなソファに腰を下ろしています。陽の光が入る暖かい部屋にカーテンが引かれ、セッションが始まりました。

 

 まずは催眠状態に入るために目を閉じ、自分の呼吸を意識するよう、高橋先生に言われました。

 「10・9・8・7…」

先生のカウントダウンの声が聞こえてきます。本で読んだとおりの進め方だなあと思っていると、

 「エスカレーターに乗って、下へ降りて行きます」

と聞こえます。私は地下鉄のエスカレーターを思い浮かべました。

 

 するとその瞬間、自分の意識が切り替わったことを自覚しました。自分の手や腕の力が抜け、ぐっと重く感じたのです。もちろんちゃんと起きています。ぼんやりと周りの様子を感じている自分がいて、その後ろにぽっかりとした暗闇のスペースを感じました。が、その瞬間、どっと涙があふれてきたのです。なんで泣いているの?と驚く自分と、孤独感と何かに怯えている自分。何が怖いのか正体がつかめず、本当に奇妙な体験でした。

 

 高橋先生の言葉は続き、南の島を想像するよう誘導されました。私が思い浮かべたイメージは、以前旅行に行った沖縄の浜辺で、デッキチェアに座っている主人。そして小さい子達と波打ち際で走り回る娘の姿でした。

 (よかった、ここには家族みんながいる。)

そう思いましたが、何かに怯えたまま私のイメージは続きます。

 

 「5年後、ライターとして成功した自分が隣にいるよ」

高橋先生の言葉で思いついたのは、今と変わらない自分の姿。その【5年後の私】は、怯えている私を見て「大丈夫だよ」と言ったのです。

 (自分が大丈夫と言っているから、きっと大丈夫。)

そうは思っても、現実の私はどうしても涙を止めることはできませんでした。

高橋先生は、5年後の自分と今の自分がハグをして、一つになるイメージを伝えました。

そして、

 「今日から自分の中に、5年後の成功した私がいますよ」

と声をかけました。

 

 やがていつもの意識に戻り、セッションは終了。一緒にこの体験をしていたYさんは、晴々とした表情をしていました。しかし私は、何かイヤなものでも見てしまったような、気まずい思いでいました。セッションが終わっても、あんなに泣いていた理由がわかりません。

 「潜在意識の蓋が、少し開いてしまったようだねえ。もう少しセッションが必要かもしれないよ。」

高橋先生は、少し困ったような顔で、まだ涙でグショグショの私にティッシュを渡してくれました。

 

 今の私は、あの「ぽっかりとした暗闇」の正体がわかりません。ただ、このセッション後、私はあることを「諦めなければならないかもしれない」と気付きました。これがヒプノセラピーの影響なのでしょうか。

 

 嫌なもの・怖いことを思い出しそうになったのに、私は2回目のセッションが近付くにつれ、怖いもの見たさの気分になってきました。(つづく)

 


(文/鵜養真彩巳)