私のヒプノ赤ちゃん体験記 ~“帝王切開”は怖い?と思っているママ達へ ②

 9月のある晴れた日。私は催眠療法の1つ「ヒプノ赤ちゃん」の説明を受けに、ヒプノセラピストの坂本みつよさんのお宅に伺っていました。テーブルの上には暖かいお茶とナツメのドライフルーツ、塩クッキー。どれも妊婦の身体に優しいスイーツが並び、まるで女子会のトークのように和やかな雰囲気で始まりました。

 

 「真彩巳さんは二人目も帝王切開にするの?一度帝王切開をした人でも、次の出産を経窒分娩でできることもあるのよ。都内で対応している病院もあるし、実際に経験した人も知っているわ」
「『ブイバック』のことですよね?少しは考えたことがあるんですけど。でも、子宮破裂のリスクが高いと聞いたから、私は二人目も帝王切開にすることにしました」
ブイバックとは、VBAC (Vaginal birth after cesarean section)のこと。芸能人ママの中にも、この方法で出産された方がいると聞きます。しかし一度帝王切開を経験すると、当然子宮に傷が残ります。この傷は他の組織よりも弱いので、出産するときに子宮が破れる危険性があるそうです。このため多くの医師が、二回目の出産も帝王切開でする方が安全と考えていますし、設備が整った病院でないと対応できないといいます。
「まあ、そうだよね。人生、思い通りにはいかないけれど、予定通りなんだよねぇ」
みつよさんのこの言葉に、私はハッとしました。
「確かにその通りかもしれない…」
 私は5年前に、思いがけず帝王切開でお産をすることになりました。予定日より早い出産だったこと、経窒分娩で子どもを産んであげられなかったことが、ずっと心の中でひっかかっていたのです。
「確かに私は思った通りの分娩はできなかったかもしれない。でも、予定通り赤ちゃんは出産できたんだ…」
私は今更ながら無事に子どもを出産できたことに対して、感謝の気持ちがこみ上げてきました。
「でもやっぱり、帝王切開って悪いイメージが付く気がする。新聞で読んだことがあるんだけど、お姑さんから『経窒分娩で産まなかったから、根気のない子に育つんじゃないの』なんて言われたとか。陣痛を経験しないと母親になれないなんて言う人もいるんですって」
幸い、私は誰からもそのように言われたことありませんでした。でも、もし産後ウツの時にそんな言葉をかけられていたら…?その後の育児を楽しむ余裕なんてとてもできなかったと思います。

 

 確かに帝王切開では麻酔も使うし、自分で息んで産むわけではありませんから、知らない人からすると「ラクな出産方法」とみられるかもしれません。しかし、経窒分娩を希望しながらも、やむを得ず帝王切開で出産することになったママも多いのです。なぜなら高齢出産や医療技術の進歩によって、今や約5人に1人が帝王切開を経験している時代だからです。私のような逆子の場合や、前置胎盤(胎盤が子宮口をふさいでいる状態)、筋腫がみつかった、お腹の中で赤ちゃんが異常をきたしている等々。人それぞれ理由があり、赤ちゃんとママの身体に危険があるからこそ、医師が判断し、切開して補助をしてくれるのです。しかしながら手術の後は麻酔で気持ちが悪くなったり、術後に傷の痛みが出たりと、決してママにとってラクな出産ではないのです。私自身も、麻酔から目が覚めた後は逆に眠りが浅くなっていて、寝苦しい思いをしていました。
もちろん、昔から行われている経窒分娩のほうがママにとっても赤ちゃんにとってもよりよい方法であることは間違いないと思いますが…。

 

 「赤ちゃんはね、自分で望んだ形で産まれてくるって言われているのよ」
みつよさんは穏やかにほほ笑みながら話し出しました。
「私がお話を聞いたママはね、真彩巳さんと同じように帝王切開で子どもを産んだことをずっと後悔していたの。
産まれた子が4歳になった時、いつものように一緒にお風呂に入っていたら
『ママ、そのお腹の傷はなーに?』って聞いてきたんですって。だからそのママは
『これはね、あなたを産んだ時にできた傷なのよ。ごめんね、普通に産んであげられなくて』って話すと、その子はなんて答えたと思う?」

「え?」
「その子はね、『ううん、おなかの中で苦しかったけど、急に窓みたいに開いて、光が差してきたから、よかったよ』って答えたそうよ。それを聞いてママは涙が止まらなかったって」
私はカップの暖かさを両手で感じながら、「体内記憶」という言葉を思い出しました。赤ちゃんはお母さんのお腹にいるときの記憶をちゃんと覚えている、という考え方です。
「私の娘にはそんな記憶なかったみたいだけど…。でもそのママは、子どもにそう言ってもらえてよかったよね。救われた気持じゃないかしら。私が産後一番の励みになった言葉はね、『上から産んでも下から産んでも、貴女は立派なお母さん!』という言葉だったわ」
みつよさんはうなずきながらこう答えました。
「それに、もし自分が赤ちゃんだったとしたら、どんな産まれ方をしたかより、産まれてきたことをママに喜んでもらえるほうが大切だと思わない?」
その言葉に、また私は自分のことを振り返りました。
「そういえば、私は手術台の上から産まれたばかりの娘を見て、素直に喜んでいたかな?部分麻酔だったから意識ははっきりあったけど、とにかく手術が怖くて、早く終わってほしいことばかり感じていたわ」
みつよさんは、2杯目のお茶を用意してくれながら、次のような提案をしてくれました。
「真彩巳さんには、ヒプノ赤ちゃんを通じて、前の出産からのトラウマや恐怖を解放すること。それと最高の出産をしっかりイメージすることが必要みたいね」
手術への恐怖を乗り越えれば、産後も穏やかな気持ちで過ごせるかもしれない!
みつよさんと話をしているうちに、私はお産の課題を克服できそうな気がしてきました。
 
 温かいお茶に美味しいスイーツ、それにお産のこと、上の子どものこと、話は途切れることなく続き、気が付けはお昼の時間をとうに過ぎていました。私はまたみつよさんにお会いする約束をして、帰路につきました。

3月まであと4カ月以上あります。私はヒプノ赤ちゃんのトレーニングをすることで、今度は後悔しないお産をしようと思います。これからみつよさんの力も借りて、2回目の帝王切開に挑みます。(つづく)

 

【参考】
帝王切開についてもっと知りたい!体験談を知りたい!方は、コチラのHPも。
http://www.cs-navi.com/index.html