「私だけのストーリー part2」

こんにちは!真彩巳です。 


これはヒプノセラピーの前世療法で、私の前世を見たときの物語です。

今回は、前世療法を受けていた時の私のイメージを、小説風にお伝えしたいと思います。 

この話を読んで「前世療法って、こんなふうに感じるの?」とか「自分もこんな面白い話を持っているのかなあ」と思うかもしれません。私も前世療法を受けるまで、自分にこんなストーリーがあったなんて思いもよりませんでした。

人それぞれ夢があるように、あなたにもきっと素晴らしい物語があるはず。そしてそれを知ったなら、停滞している現状から一歩前に進めることでしょう。



 ここはむかしむかしのイングランド。私の名前はベス。歳は4つか5つ。私は暗い森の中、城の前に立ち尽くして泣いていた。

家族も、そして私の大好きな友達アンジェラ姫も、もういない。 

「みんなみんな、いなくなっちゃった…」 

私は迷子のようにわんわん泣いている。

誰かが私に言った。 

「危険であるから、もう城の中には入ってはならない」 

どうやらここでクーデターが起きたらしい。城内は反乱軍に制圧され、とても危険な場所に変わってしまった。城の者は皆殺しにされてしまったのだろうか?私もこの城が怖い。とても怖い。このままでは私も殺されてしまうに違いない。どうやら私は孤児になってしまったようだ。これから独りでどうやって生きていけばいいんだろう。 

 私の母親は、アンジェラ姫の乳母。私は姫の遊び相手として、いつもお城の中で姫と遊んでいた。6歳のアンジェラはまるで私の姉のようだった。いつも優しく、お姫さまだからといって私に威張ったりしなかった。 

「また一緒に遊ぼうね」 

アンジェラと約束したけれど、もうこの約束も果たすことはできないようだ。 


 そして、場面が変わる。 

私は今、死の間際にいる。

夫は早くに亡くしたが、私が息を引き取ろうとしている傍で息子夫婦と三人の孫が見守ってくれている。

「母さん、りっぱな人生だったね」

大切な一人息子が私に優しく語りかけてくれた。

私はパン屋の女主人として働いた。こんな古い時代に女手独りで生きてきたのには相当苦労したはずだろう。それでも私は後悔していない。よい人生を送ることができたようだ。

しかし、大切な友人・アンジェラ姫のことだけはどうしても忘れられない。 

「願いが叶うなら、もう一度アンジェラに会いたい」 

人生の終わりに私はこう願った。すると私の意識は別の場所へ飛んで行った。 


 今度は気がつくと、私は修道院にいた。誰もいない回廊を走り回って、アンジェラ姫を探している。 

「アンジェラ!アンジェラ!」

私は叫んだ。

「どこにいるの?ベスよ、会いに来たわ。一緒に帰ろう。」 

中庭を囲む廊下の向こうに、黒い服を着た修道女が立っているのが見えた。 

「よかった…、無事だったのね」 

私が駆け寄ろうとしたとたん、冷たい声が響いた。 

「私はどこにも行かない」 

年は17,8歳。青白い顔をしたアンジェラ姫が立っていた。 

「ずっと会いたかった。心配したんだよ。さあ、早くここから出よう」 

こんな人気のないさみしい場所に、姫を一人ぼっちで置いて行くわけにはいかない。

「ねえお願い、一緒に帰ろう」

私は必死に訴えた。でも姫の顔は固く、諦めの表情が浮かんでいる。 

「絶対行かない。もうこれでいいの」 

アンジェラ姫はその場を動こうとしない。そういえば、この人はとても頑固な一面があったと私は思いだした。行かないといえばテコでも動かないだろう。

私と姫の間には、すでに見えない壁で隔てられていた。 

(私たちの仲はもう元には戻らないんだ…。どうしてこんなことになってしまったの?) 

そう思うと涙があふれて止まらない。アンジェラは私の大事な親友なのに。

「また一緒に遊ぼうって、一緒に約束したじゃない…」 

泣きじゃくる私を見て、姫が優しく微笑んだ。 

「じゃあもう一度だけ、一緒に遊ぼう」 


 また場面が変わる。

今度は子供時代のアンジェラ姫と私に戻っていた。ふっくらとした頬のアンジェラ姫に、私はどこか見覚えがあった。私たちは城の子供部屋のようなところで、おやつを食べていた。私たちは本当の姉妹のように仲が良く、 

「おいしいね」 

「うん」 

と笑い合っていた。 

 すると突然、ドアが蹴り破られた。大勢の兵士が部屋に押し入って来る。 

「いやだ、やめて、はなして!!」 

アンジェラ姫の叫びが私の耳に突き刺さる。私に恐怖が押し寄せてきた。 

「やめて、アンジェラを返して!!」 

兵士達が私の目の前で姫をさらって行く。 

「だめ!アンジェラを連れていかないで!おねがい、連れていかないで…」 

子どもの私は無力だった。彼女を取り返すことも、追いかけることもできなかった。そして大切な人を失った絶望感で私はまた泣いていた。何にも出来ない自分が情けなくて、悔しくて、泣いた。 


 そして気が付いた。 

(…ああ、そうだ。あのふっくらとしたホッペに、母親でも手に負えないガンコな性格。さらわれたアンジェラ姫は私の娘だ。私達は、前世で親友だったんだ) 

意外だった。まさか自分の子どもが出てくるなんて!


 さらにもうひとつ、わかった。 

このストーリーは私の恐怖の象徴を表している。つまり私の「恐怖」とは、「自分が無能で役に立たない人間なのではないか」という思いだ。

しかしその恐怖を乗り越えるヒントもあった。

ベスの人生を生きた私は、孤児になり、親友を失い、夫に先立たれている。どんなに逆境に陥っても、それでもなお一生懸命働いて、大切な家族を守ることができたのだ。

 

 今の私はただ怖いことばかりに気を取られていて、何もしていない気がする。

(つづく)


(文/鵜養真彩巳)